
本社工場 資材搬出入口 大戸(鋼製スライド扉)/赤外線サーモグラフィによる表面温度実測
| 実測サマリー(外気温 約29℃・くもり/2026年8月21日 10:59〜11:01) |
| 大戸 外面(屋外側) −9.4℃ (42.4℃ → 33.0℃) 大戸 裏面(庫内側) −10.0℃ (41.3℃ → 31.3℃) 庫内側と外気温の差 +2.3℃ (未施工は +12.3℃) |
※ 同一の大戸の上で、未施工部と試験施工部を隣り合わせに設け、同じ時間帯・同じ機材・同じ設定で測定した比較結果です。
1.遮熱塗装試験の概要
1-1 実施条件
| 実施日時 | 2026年8月21日(金) 温度測定 10:59〜11:01 |
| 場所 | 千葉県内の本社工場 |
| 対象部位 | 資材搬出入口 大戸(鋼製スライド扉・折板/南〜西向き、直射日光を受ける面) |
| 試験内容 | 大戸の一部区画に遮熱・断熱塗料を試験塗装し、隣接する未施工部と表面温度を比較 |
| 測定機材 | HIKMICRO 赤外線サーモグラフィカメラ/放射率 ε=1.00・測定距離 2.0m |
| 気象条件 | くもり 気温 約29℃(29.0〜30.0℃)/湿度 69〜74%/西〜西南西の風 2〜3m/s |
1-2 測定の考え方
同じ扉の上に「塗った面」と「塗っていない面」を隣り合わせでつくり、同じ時刻・同じ機材・同じ設定・同じ距離で撮影しています。天候や日射のばらつきの影響を受けない条件で、塗装の有無だけを比較しています。
また、扉の屋外側(外面)だけでなく庫内側(裏面)も測定しました。屋外側の表面温度が下がっても庫内へ伝わる熱が減らなければ意味がないため、庫内側の数値を重視しています。
| 【数値の扱いについて】放射率は ε=1.00(初期設定)のまま測定しているため、鋼板の表面温度の絶対値には数値上の誤差が含まれます。ただし未施工部・施工部とも同一設定・同一条件で撮影しているため、両者の温度差(本報告の主眼)は信頼できる値です。 |
遮熱塗装の実測結果
2-1 表面温度の測定値
| 測定箇所 | 未施工部 | 試験施工部(遮熱塗装) | 温度差 | 測定時刻 |
| 大戸 外面(屋外側) | 42.2℃ / 42.5℃ 平均 42.4℃ | 32.7℃ / 33.2℃ 平均 33.0℃ | −9.4℃ | 10:59 〜11:00 |
| 大戸 裏面(庫内側) | 41.0℃ / 41.5℃ 平均 41.3℃ | 31.4℃ / 31.2℃ 平均 31.3℃ | −10.0℃ | 11:00 〜11:01 |
※ 各測定箇所とも2点ずつ撮影し、両方の値を併記しています。撮影画像は3章・4章に全点掲載しています。
2-2 外気温との比較でみた場合
当日の外気温は約29℃でした。各面が外気温より何度高くなっていたかを整理します。
| 測定面 | 未施工部 | 試験施工部 |
| 外面(屋外側)の外気温との差 | 外気 +13.4℃ | 外気 +4.0℃ |
| 裏面(庫内側)の外気温との差 | 外気 +12.3℃ | 外気 +2.3℃ |
| 未施工の大戸は、庫内側が外気より12℃以上高い「発熱体」になっています。試験施工部では外気+2.3℃まで下がり、ほぼ外気温と同じ温度になりました。庫内に向かって熱を放り込む状態が、ほぼ解消されています。 |
2-3 測定値の比較(グラフ)
| 外気温 約29℃ ↓ | |
| 外面 未施工部 | 42.4℃ |
| 外面 試験施工部 | 33.0℃ |
| 裏面(庫内側)未施工部 | 41.3℃ |
| 裏面(庫内側)試験施工部 | 31.3℃ |
横軸:0℃を起点とした実測表面温度(目盛の上限 50℃)
2-4 今回の結果のポイント
| ・庫内側で約10℃低下(41.3℃→31.3℃)。外面だけを冷やす塗料ではなく、庫内へ伝わる熱そのものが減っています。庫内で作業される方が受ける輻射熱(じりじりと照りつける熱)が直接減ります。 |
| ・この数値は「くもり・29℃」という控えめな条件で得られたものです。快晴の猛暑日では未施工部の温度がさらに上がるため、差は今回以上に開くことが見込まれます。 |
| ・試験施工部は外気温+2.3℃。物理的な下限(外気温)に近いところまで下がっており、遮熱塗装として十分な性能が出ています。仕上がりも既存の色調から大きく外れません(3章・4章参照)。 |
3.写真記録① 大戸 外面(屋外側)
3-1 未施工部 平均 42.4℃
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| 可視光(未施工部) | 熱画像 10:59 42.2℃ | 熱画像 11:00 42.5℃ |
3-2 試験施工部(遮熱塗装) 平均 33.0℃
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| 可視光(施工部・中央の明るい区画が試し塗り範囲) | 熱画像 10:59 32.7℃ | 熱画像 10:59 33.2℃ |
| 外面の比較:42.4℃ → 33.0℃(−9.4℃)。 ※ 熱画像の色は画像ごとに自動で目盛りが振り直されるため(各画像の右端に表示されている上限・下限値をご参照ください)、色そのものを画像間で比較することはできません。比較は画面左上の中央点の実測値「Cen ○○℃」でご覧ください。 |
4.写真記録② 大戸 裏面(庫内側)
4-1 未施工部 平均 41.3℃
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| 可視光(庫内側・未施工部) | 熱画像 11:01 41.0℃ | 熱画像 11:01 41.5℃ |
4-2 試験施工部(遮熱塗装) 平均 31.3℃
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| 可視光(庫内側・施工部) | 熱画像 11:00 31.4℃ | 熱画像 11:00 31.2℃ |
| 庫内側の比較:41.3℃ → 31.3℃(−10.0℃)。外気温が約29℃ですので、施工部は外気温+2.3℃まで下がっています。庫内へ放出される輻射熱が大幅に減っている状態です。(色ではなく「Cen ○○℃」の数値でご比較ください。) |
5.本格施工に向けて
5-1 この温度差が現場にもたらすもの
今回確認できたのは「庫内側の表面温度が約10℃下がる」という事実です。これは次の3点に直結します。
| ・作業環境・熱中症対策。庫内側の鉄部が発する輻射熱が減り、扉付近の体感温度が下がります。WBGT(暑さ指数)は気温だけでなく周囲からの輻射熱で決まるため、面積の大きい鉄部を冷やすことは直接の対策になります。 |
| ・空調をお使いの区画では負荷の低減。外部から侵入する熱量が減り、冷房の効きと電気使用量に影響します。 |
| ・保管資材・製品の温度上昇の抑制。庫内の高温は、資材や梱包材の状態にも影響します。 |
| 削減効果の金額換算は、対象面積・建屋の使われ方・空調の有無と稼働時間・電力単価によって大きく変わります。当社では根拠の無い概算を先にお出しすることはいたしません。ご検討の範囲や設備の条件をお聞かせいただき次第、算出根拠を明示した試算とお見積りをご提出いたします。 |
5-2 当社について
| 商号・代表者 | 株式会社竹山美装 代表取締役 竹山 昭(設立 2014年5月9日/資本金 500万円) |
| 所在地・連絡先 | 〒264-0017 千葉県千葉市若葉区加曾利町1002-5 TEL 043-488-6768(受付 8:00〜19:00)/ FAX 043-488-6798 / info@takebi.net |
| 建設業許可 | 千葉県知事許可(般-8)第51394号 塗装/建築/左官/とび・土工/屋根/タイル・れんが・ブロック/板金/防水/内装仕上/解体 の計10業種 |
| 保有資格・体制 | 一級塗装技能士、職長・安全衛生責任者、有機溶剤作業主任者、足場組立て等作業主任者 許可10業種を保有し、塗装以外の付帯工事も含めて窓口一つで全工種を管理いたします。 |
本事例を踏まえた遮熱塗装のコツ
工場の暑さ対策というと屋根への遮熱塗装が注目されがちですが、実際には日当たりのよい外壁や大型扉が大きな熱源になっていることもあります。今回の千葉県内にある大型工場では、南から西向きに設置され、直射日光を受ける資材搬出入口の鋼製スライド扉を対象に試験施工を行いました。遮熱塗装を検討する際は、最初から屋根や建物全体を塗るのではなく、現地調査によって「どの部位から多くの熱が侵入しているのか」を把握することが重要です。
今回の実験で特に参考になるのが、同じ扉の上に遮熱塗装を施した部分と未施工部分を隣り合わせに設けて比較した点です。異なる建物や離れた場所を測定すると、方角や日当たり、風通し、素材などの条件が変わり、塗装による効果を正確に判断しにくくなります。同一の部材上で試し塗りを行い、同じ時刻、同じ機材、同じ設定、同じ距離で測定することで、塗装の有無による温度差を確認しやすくなります。
この事例では、外気温約29℃の曇天時に、扉の屋外側が未施工部分の平均42.4℃から施工部分の平均33.0℃へ約9.4℃低下しました。さらに、庫内側でも平均41.3℃から31.3℃へ約10℃低下しています。遮熱塗装の効果を判断するときは、日射を受ける外面の温度だけでなく、室内側や庫内側の表面温度まで測定することが大切です。外面の温度が下がっていても、内部へ伝わる熱が十分に減っていなければ、作業環境の改善にはつながりにくいためです。
また、工場内の暑さは空気の温度だけで決まるものではありません。日射で熱せられた鋼製扉や外壁は、室内側へ輻射熱を放出します。今回の未施工部分では、庫内側の扉表面が外気温より約12.3℃高くなっており、大型扉自体が庫内を暖める発熱体のような状態でした。一方、遮熱塗装を施した部分は外気温との差が約2.3℃まで抑えられています。従業員が扉の近くで作業する工場では、気温だけでなく、周囲の鉄部や壁面から受ける輻射熱を減らす視点が欠かせません。
測定結果を確認するときは、サーモグラフィ画像の色だけで判断しないことも重要です。熱画像は撮影するたびに表示する温度範囲が自動調整されることがあり、同じ色でも画像ごとに示す温度が異なる場合があります。そのため、画像の色合いではなく、画面に表示された測定温度を比較する必要があります。また、鋼板は表面の光沢や色によって放射率が変わるため、絶対温度には誤差が含まれる可能性があります。試験施工部と未施工部を同一設定で測定し、絶対値だけでなく両者の「温度差」を重視することが、適切な評価につながります。
本格施工に進む際は、温度低減効果だけでなく、既存の扉や外壁との色調、鋼板のさびや劣化、塗膜の密着性なども確認します。鋼製部材では、洗浄やケレン、さび止めなどの下地処理が不十分だと、性能の高い遮熱塗料を使用しても早期の剥がれや劣化につながります。既存塗膜や素材に適した下塗り材を選び、必要な塗布量と塗膜厚を確保することが、遮熱性能を長く維持するポイントです。
遮熱塗装による経済的な効果についても、温度差だけから一律に判断することはできません。施工面積、空調設備の有無、稼働時間、設定温度、電力単価などによって、削減できる電気料金は大きく変わります。まずは熱源となっている部位を特定して試験施工を行い、外面と内面の温度差を実測したうえで、作業環境の改善、空調負荷の軽減、保管資材や製品の温度上昇抑制など、工場ごとの目的に合わせて施工範囲を決めることが、遮熱塗装を成功させるコツです。












