現場コラム

コンクリート倉庫の湿気対策で在庫を守る建物改善の現場解説徹底ガイド

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この記事の目次
倉庫の湿気で段ボールがヘナヘナになり始めた時点で、すでに在庫も設備も静かに傷んでいます。空調を増やし、換気ファンを回し、乾燥剤やシリカゲルを追加しても、コンクリートの床・壁・屋根からの水分と温度差を放置したままなら、湿度トラブルは形を変えて何度でも発生します。ここを押さえずに追加設備にコストをかけるのは、穴の開いたタンクに水を注ぎ足し続けるようなものです。 コンクリート倉庫は頑丈で湿気にも強そうに見えますが、実際の現場では「気密性が高いほどカビ・悪臭・害虫が増える」「特定のラックだけ湿度が高くダンボールが崩れる」「冷蔵室付近の床だけ常時ぬれて腐食が進む」といったトラブルが繰り返されています。その原因は、湿気そのものよりも、建物の構造と温度分布、空気の循環のさせ方にあります。 つまり、本当に効く湿気対策は「空調や除湿機を増やすかどうか」ではなく、「建物(屋根・壁面・床・スラブ・シーリング)と設備(換気・ファン・空調)をどう役割分担させるか」で決まります。この記事では、倉庫・工場の現場で起きている典型的なトラブルと、それに対する実務レベルの対策を、次の3段階で整理します。
  • 今の対策がなぜ効かないかを、コンクリート内部の水分と温度差、外気との関係から整理する
  • 追加コストゼロでできる「保管物の配置・空気の流れ・モニタリング」の見直しポイントを押さえる
  • 建物を触るべきタイミングで、屋根の遮熱・断熱塗装、床・スラブの塗床、防水・シーリング工事をどう組み合わせるかを判断する
この流れを押さえれば、「とりあえず換気と乾燥剤」で場当たり的に対応する段階から抜け出し、在庫と設備を長期的に守りながら、電気代と工事コストを抑える湿度管理に切り替えられます。逆に言えば、ここで建物側の原因を整理せずに除湿機やモニタリングシステムだけを導入するのは、投資効率の面で大きな損失です。 この記事全体で得られる実利を、先に整理しておきます。
セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(原因・NG対策・現場ケース・タダでできる対策・機器の正しい使い方) 湿気トラブルの原因マップと、「どの場所で何を確認すればいいか」というチェックリスト。段ボールやパレットの配置、換気ファン・空調・乾燥剤の効果を最大化する運用パターン 努力しているのに湿度が下がらない、保管物被害が局所的に続くといった、対策と結果が噛み合わない状態からの脱出。
構成の後半(建物側テコ入れ・限界ライン・業者選び・Q&A) 屋根・壁・床・シーリングなど建物のどこを、どの順番でテコ入れすべきかを判断する基準と、見積もりで聞くべき質問集。ムダな工事を避け、必要十分な施工内容とコストのラインを見極める目線。 「建物を触るべきか」「どの業者に何を頼むべきか」が曖昧なまま場当たりで投資してしまう、長期的なコストとリスク管理の不透明さの解消。
ここから先は、コンクリート倉庫の湿気対策を「設備頼みの消耗戦」から「建物ごと整える長期安定運用」へ切り替えるための、現場視点の解説に入ります。倉庫の湿度管理を、勘と経験だけに任せておく余裕がない方ほど、最後まで読み進めてください。

「コンクリート倉庫は湿気に強い」は大きな誤解?構造と気密が招くトラブルの正体

「コンクリートだから湿気には強いはず」 この思い込みが、在庫被害をじわじわ広げるスタート地点になっている現場を、工場や物流倉庫で何度も見てきました。見た目はガッチリでも、中では水分と水蒸気が静かに暴れている建物が少なくありません。

コンクリートスラブ内部の水分と湿度の関係を、現場レベルでざっくり理解する

コンクリートは「固まった石」ではなく、スポンジに近い素材です。 打設時に大量の水を混ぜるため、硬化後も内部には自由水(水分)が残り、ゆっくり空気中に放出されます。 ポイントをざっくり押さえると次の通りです。
  • 床スラブ内部には、数年単位で抜けきらない水分が残る
  • 温度が上がると、スラブ内の水分が水蒸気として動き出す
  • 床表面が冷えていると、内部から来た水分が表面で結露しやすい
この「床そのものが湿気の供給源」という発想が抜けたまま、乾燥剤や除湿機だけを増設しても、床際ラックや段ボールだけが常にジメジメする環境から抜け出せません。

気密性が高い倉庫ほど“悪臭・カビ・害虫”リスクが上がる理由

省エネ志向で気密性を高めたコンクリート倉庫は多いですが、湿度管理が甘いと、これは両刃の剣になります。
  • 外気が入りにくい=一度入った水蒸気が逃げにくい
  • 人やフォークリフト、製品から出る水分・熱が内部でこもる
  • 悪臭・カビ・害虫の「ごちそう」である高湿度空気が長時間滞留する
結果として、温度はそこそこ快適なのに、湿度だけ常に高い倉庫になりやすい。 防犯や空調効率を優先してシャッターや出入口を閉め切ったまま、換気計画がないケースでは、カビ臭と害虫発生が一気に進行します。

冷たい壁面・床面と外気の温度差が、結露と保管物被害をどう生むか

倉庫の湿気トラブルを一言で言うと、「冷たい面に、湿った空気が触れる」ことから始まります。屋根からの熱だまりと、コンクリート床・壁の冷えが組み合わさると、結露の条件がそろいやすくなります。
  • 夏〜梅雨時期: 外気温高い+外気湿度高い+床は冷たい
  • 冬: 内部空気は空調でそこそこ暖かいが、外気と接する壁面だけ冷たい
この温度差が、段ボールやパレット裏の「見えない結露」を生みます。サーモカメラで見ると、壁際30〜50cmだけ極端に温度が低い帯が出る現場も多く、その帯に沿って段ボールの変形や印字のにじみが集中します。

「建物(屋根・壁・床)」と「設備(空調・換気ファン・ベンチレーター)」の役割分担を整理する

湿度コントロールで失敗する倉庫には、共通の勘違いがあります。それが「全部、空調と換気でなんとかしようとする」ことです。実際には、建物と設備には明確な役割分担があります。
レイヤー 主な役割 できること できないこと
建物(屋根・壁・床・シーリング) 温度差を小さくする・水分の侵入を止める 遮熱・断熱・防水・ひび割れ補修で結露の原因を減らす 室内湿度を細かくコントロール
設備(空調・換気ファン・ベンチレーター・除湿機) 室内の空気・湿度を動かす 換気・除湿・循環で湿度を下げる ひび割れやスラブ内部からの水分を止める
「空調をどれだけ増設しても、コンクリート床・壁からの冷えと屋根の熱だまりがそのままだと、結露と湿気の元を断ち切れない」というのは、工場倉庫の改修をしている私の視点で言いますと、現場で何度も数字として確認してきた事実です。 湿度トラブルを本気で止めるなら、
  1. 建物側で温度差と水分の侵入口を減らす
  2. そのうえで設備側の換気・除湿を効かせる条件を整える この順番が外せません。ここを押さえると、次章以降のNG対策や具体的な改善策も一気に腹落ちするはずです。

その湿気対策、逆効果かも?倉庫で“やりがちなNG対処法”と見落としポイント

「換気してるし、ファンも回してる。なのに段ボールがベコベコ…」 コンクリート倉庫でよく見るのは、“頑張っているのに湿度だけは裏切ってくる”パターンです。原因は、対策そのものが“湿気の理屈”とズレていることが多いです。

梅雨にシャッター常時開放+大型ファン常時運転が危ないワケ(外気と湿度の法則)

梅雨時期にやりがちなのが「シャッター全開+大型ファンで強制換気」。体感はサッパリしても、在庫目線では最悪のコンボになることがあります。 ポイントは「温度」と「絶対湿度(空気中の水分量)」です。
状況 外気 倉庫内 結果
梅雨昼間 高温+高湿度 比較的ひんやり 冷えた床・壁で結露発生
冬晴れ 低温+低湿度 ほんのり暖かい 換気が乾燥に有効
梅雨の外気は「湿度80%前後」で水分たっぷり。 これを、コンクリートのひんやりした床・壁に当て続けると、水蒸気が一気に水へ変わり、床際ラックや段ボールだけが常にジメジメという状態をつくります。 私の視点で言いますと「シャッターを開ける日・時間帯を決めずに“通年開けっぱなし”は、湿気管理としてはほぼギャンブル」です。 最低でも以下は徹底したいところです。
  • 梅雨〜夏は、外気温<倉庫内温度の時間帯(早朝など)を狙って換気
  • 湿度計を「屋外」「倉庫内」で見比べ、外の方が湿度が低い時だけ大換気
  • 大型ファンは「撹拌(かくはん)」目的で使い、湿気た外気をガンガン引き込まない設定にする

段ボール・パレットをコンクリート壁面や床に密着させると起きる「見えない結露」

在庫管理で一番ダメージが大きいのは、段ボールの底抜け・変形・カビ。 その多くが「見えない結露」のたまった湿気によるものです。 コンクリート床・壁は、外気より冷えやすい面です。ここに段ボールや木製パレットをベタ付けすると、
  • 裏側に空気が流れない
  • 冷たいコンクリート面で水蒸気が水になる
  • 段ボールが「目に見えない裏面からじわじわ吸水」
という流れで、気づいた時には下段だけ箱がグニャグニャになっています。 対策としてはシンプルですが、効果は大きいです。
  • 壁からは最低でも「10cm」の離隔をとる
  • 床は直置き禁止、パレット・スノコ・マットで5cm以上浮かせる
  • ラック下部に「風が通るスキマ」を意識して配置する

乾燥剤やシリカゲルを“置きっぱなし”にするリスクと、交換・設置状況のチェックのコツ

「ファインドライ」「シリカゲル」などの乾燥剤は、あくまで“局所の保険”です。 倉庫全体の湿度管理が崩れた状態で、乾燥剤だけ増やしても飽和して沈黙したスポンジを並べているのと同じです。
チェック項目 NG状態 望ましい状態
交換時期 いつ入れたか不明 ラベル・記録でロットと日付管理
設置位置 倉庫の隅に適当に散乱 湿気がこもりやすい棚内部や箱内に集中配置
対象 倉庫全体を頼る 重要製品・高額荷物を優先的に保護
乾燥剤は「どの商品をどこまで守るか」を決めて使うのが前提です。 湿度環境そのものを下げたいなら、建物側(屋根・床・壁)と空調・換気の見直しがセットと考えた方が、コスト的にも現実的です。

清掃・点検が後回しの倉庫ほど、スラブのヒビとシーリング劣化から湿気が入り込む

コンクリート倉庫の湿気は、「空気中の水蒸気」だけが犯人ではありません。 床スラブのヒビ、外壁のクラック、天井・配管まわりのシーリング切れから、水が“点”で侵入し、内部鉄筋やラックの足元を腐食させていくパターンがよく見られます。 清掃が後回しの倉庫ほど、
  • 埃と汚れで細かいヒビ・ふくれを見落とす
  • 雨のあとにできる「小さな水たまり」の位置を把握できない
  • 排水まわりの劣化に気づかず、床下から常時湿気が供給される状態になる
という悪循環に入ります。 日常点検で最低限チェックしたい場所
  • 床:フォークリフト通路・ラック足元・目地まわりのヒビ、ふくれ
  • 壁・天井:雨筋跡、変色、塗装の浮き
  • シーリング:シャッターまわり、サッシ、配管貫通部の割れ・剥離
ここで異常があれば、「建物をいじらない対策」だけでは限界が近いサインです。 湿気対策を“空気だけ”で考えず、コンクリートそのものが水を吸っていないかまで疑うと、在庫被害を一歩手前で止めやすくなります。

現場で本当に起きている「コンクリート倉庫の湿気トラブル」3ケース

ケース1:保管場所ごとに湿度がバラバラで、一部ラックだけダンボールケースが崩れる

「同じ倉庫なのに、この列だけ段ボールがフニャフニャになる」。 現場でよく聞くパターンだ。 原因は空気の循環ムラ+コンクリートの“冷えポイント”の重なりだと考えた方が早い。
  • シャッター近くや天井ファン直下だけ外気が当たる
  • 北側壁面や柱まわりのコンクリートが常に低温
  • 壁面・床面に段ボールやパレットを密着させて保管
この組み合わせで、相対湿度は同じ倉庫内でも10〜20%差が出ることがある。 サーモカメラや温湿度ロガーでモニタリングすると、ラック列ごとに温度が1〜3℃違う例も多い。 私の視点で言いますと、「床から10cm離すだけ」で段ボール被害がピタッと止まる現場はかなり多い。スノコやパレット、マットで床との離隔を取り、壁からも5cm以上空気の通り道を確保すると、湿度トラブルは一気に減る。
ポイント 悪い状態 改善後
段ボール位置 床・壁に密着 床から10cm、壁から5cm離す
空気の流れ 列の端だけファンが当たる 通路・四隅を意識して循環
管理方法 倉庫中央だけ湿度確認 四隅+中央で定期測定

ケース2:配管まわり・目地だけサビと腐食が進み、設備更新コストが運営コストを圧迫

「ラックの足元だけ、やたら早くサビる」「配管根元だけ腐食」。 これは点で始まる劣化の典型例だ。
  • 天井配管まわりの結露水が、配管支持金物をつたって落下
  • コンクリート目地・スラブひびから水分が回り、アンカー部に滞留
  • 古いシーリングが切れ、外気中の水蒸気が局所的に侵入
この“点”に水分と酸素が集中するため、鉄部の腐食速度が周辺より格段に速い。 結果として、まだ使えるはずのラックや設備を早期更新し、コストがじわじわ効いてくる。
  • 配管根元・目地・アンカーまわりを定期に目視確認
  • サビ・白華(コンクリート表面の白い析出)を湿気のサインとして扱う
  • シーリング劣化を「防水工事」ではなく「湿度対策の入口」として捉える
建物側の微細なスキマを塞ぐだけで、設備寿命が数年伸びるケースも珍しくない。

ケース3:冷蔵室・冷凍室近くの倉庫で、床だけ常時ぬれて悪臭・害虫が発生

冷凍庫脇の通路だけ、いつもビチャビチャ。 ここでは温度差による結露+床スラブの冷えが同時に起きている。
  • 冷蔵室の壁・床が周囲より極端に冷たい
  • 外気や倉庫内の湿った空気がその冷えた面に触れて水滴化
  • 表面の水が引かないまま、コンクリート内部に染み込み再放出
この状態が続くと、床表面の細かな凹みに水と汚れがたまり、悪臭・カビ・害虫が一気に増える。 さらに、荷物のパレットやマットの裏側が常時湿った状態となり、見えないところでカビが繁殖して製品に影響するリスクも高い。 対策の筋道は次の通りだ。
  • 温度センサーで冷蔵室まわりの床・壁温度を把握
  • 断熱塗装や塗床で「冷えすぎた面」を緩和
  • パレット・マットで床から保管物を離し、空気の循環を確保
  • 清掃と排水経路の管理を「毎日ルーティン」に組み込む
冷蔵・冷凍設備側だけをいじっても、コンクリート床の温度と水分挙動を無視すると湿気トラブルは止まらない。建物と設備をワンセットで見るかどうかが、被害を抑えられる工場と、いつまでもトラブルに追われる工場の分かれ目になっている。

まずは“タダでできる”レベルから。保管物と空気の流れを整える湿気対策

「設備投資の稟議はまだ出せない。でも在庫被害は今すぐ止めたい。」 そんな時は、レイアウトと運用だけで“湿気の通り道”をつくるところから手をつけると、体感で環境が変わります。

段ボール・パレット・ラックの「積み方・配置」を見直すだけで変わる湿度環境

湿気トラブルが出ている倉庫を現場確認すると、共通しているのが「詰め込みすぎ」「壁ベタ付け」「床直置き」です。 空気が動けない場所から、カビと悪臭が始まります。 配置見直しのポイントを整理すると、次の通りです。
見直すポイント NG例 改善案(タダで可能)
壁との距離 段ボールを壁面にピッタリ 壁から最低10cm離す
ラックの抜け 最下段までビッシリ 最下段は1段空けるか金網棚に変更
通路幅 パレットがやっと通る幅 主要動線は人2人がすれ違える幅
積み高さ 天井ギリギリまで 天井から50cmは“空気の逃げ”とする
ポイントは「湿気に逃げ場をつくる」意識です。 特に段ボールは水分を吸ったまま乾きにくく、湿度80%超のゾーンに長時間置くと中身までダメージが入ります。

スノコ・パレット・マットを使った床面からの離隔と、壁面の空気循環の作り方

コンクリート床は冷蔵庫の壁と同じで、「常に冷たい面」になりがちです。 ここに段ボールや木パレットを直置きすると、目視できない線状の結露が発生しやすくなります。 無料でできる、もしくは既存設備だけでできる工夫は次の通りです。
  • 既存パレットを優先して「外周の列」に回し、壁から10〜15cm離す
  • スノコや樹脂パレットが足りない場合は、荷が軽い列から優先的に“床から浮かせる”
  • 床にビニールマットを敷く場合は、端部を完全密閉にせず、壁側を数cmあけて空気の逃げを確保
壁面の空気循環を意識するときは、「壁面に沿って縦に風が流れるイメージ」を持つと整理しやすいです。 壁にベタ付けしているラックや荷物の列を1本だけでも前に出すと、そこが“縦の温度差換気”の通り道になります。

温度・湿度の記録ポイントは「倉庫の四隅+中央+屋外」──モニタリングの基本設計

湿気対策で失敗しやすいのは、「倉庫全体の平均値」しか見ていない状態です。 被害が出るのはいつも“特定の場所”なので、計測も点で押さえます。 最低限のモニタリング配置は次の6点です。
  • 室内四隅(床から1.5m付近)
  • 倉庫中央(人が出入りしやすい位置)
  • 屋外(北側の日陰が理想)
計測場所 ねらい よく出る傾向
北西の隅 冷え+湿気の溜まり場 段ボール崩れ・カビ
南側シャッター近く 外気の流入確認 梅雨時に湿度急上昇
冷蔵・冷凍室近く 温度差・結露リスク 床の湿り・悪臭
屋外日陰 換気の判断材料 屋内外の差を確認
1日3回(始業・昼・終業)、紙かエクセルで“時刻・温度・湿度・天気”を記録しておくと、 「この時期・この風向きで、この隅だけ湿度90%超える」というパターンが見え、設備投資の精度が一気に上がります。

従業員と共有したい「換気の時期・時間帯」の簡単な判断基準

梅雨時期に多いのが、「とりあえずシャッター全開+大型ファン常時運転」で、逆に湿度を倉庫内へ運び込んでしまうパターンです。 ここは現場ルールを紙1枚で決めておくかどうかで、湿度管理の品質が変わります。 私の視点で言いますと、現場に浸透しやすいのは、次のような“温度と湿度だけを使ったシンプル指標”です。
  • 屋外の湿度が80%以上の時は、「長時間の全開放換気は禁止」
  • 屋外温度<屋内温度かつ屋外湿度<屋内湿度の時だけ、シャッター大きめ+ファン運転
  • 夜間や早朝で外気が冷たい時は、短時間(15〜20分)の一気換気に絞る
  • 雨の日は「シャッター半開+人の出入り側だけ開ける」に留める
これをA4用紙1枚で図解し、出入口と休憩室に貼るだけでも、従業員ごとの判断ブレが減り、結果として湿気トラブルと電気コストの両方を抑えられます。

機器に頼る前に“効かせる条件”をつくる。換気・ファン・乾燥剤の正しい使い方

「換気ファンも除湿機も入れているのに、湿度グラフが全然下がらない」 この状態は、機器が弱いのではなく“効かせる条件”ができていないケースがほとんどです。

ベンチレーター・換気ファンを「どこに設置するか」で決まる換気の効果

換気は台数より空気の通り道設計が勝負です。特にコンクリート倉庫は構造的に気密が高く、水蒸気がこもりやすい環境になっています。 ポイントは3つです。
  • 吸気と排気を「対角線上」に配置し、空気を倉庫全体に引きずる
  • 天井付近のベンチレーターで、熱と水蒸気がたまりやすい高所を抜く
  • 湿気トラブルの出ているラック列を「空気の通り道」に巻き込む
特に、シャッター近く片側だけにファンを集中させると、入口周辺だけ爽やかで奥は停滞空気のままというパターンになりがちです。 下の表は、現場でよく検討する配置イメージです。
設置パターン 空気の動き リスク
片側高所のみ排気 入口周辺だけ循環 奥の段ボールが高湿度のまま
対角で吸気+排気 倉庫全体にゆるく一方向の流れ 風量が弱くても効果が出やすい
ラック列途中だけ局所排気 その列だけ過乾燥・他は停滞 保管物ごとの湿度ムラ
遮熱塗装や断熱が弱い屋根直下は特に温度差が大きく、飽和水蒸気量が急に下がるゾーンです。そこにベンチレーターを集中させると、結露の発生源ごと外へ吐き出しやすくなります

業務用除湿機と空調設備、電気代と湿度低下のバランスをどう考えるか

除湿機と空調を「フルパワーで勝負」すると、電気代が在庫被害並みに重くのしかかります。大事なのはどこまで湿度を下げる必要がある製品かを見極めることです。
  • 紙・段ボール・粉体製品: 相対湿度60%を越えるとリスク急上昇
  • 金属部品・ラック: 相対湿度70%超+結露で一気にサビ加速
  • 食品・衛生材料: 50〜60%を狙う必要があるケースが多い
目標湿度を決めたうえで、次の順番で考えるとコストバランスが取りやすくなります。
  1. 屋根・外壁の遮熱で温度差そのものを縮小し、必要除湿量を減らす
  2. 空調で「温度」を管理しつつ、除湿機はピーク時の補助に回す
  3. 保管ゾーンを分け、湿気に弱い製品エリアだけ集中的に除湿
私の視点で言いますと、サーモグラフィで屋根面温度を確認し、遮熱塗装で夏季に5〜10℃程度下げられた現場では、同じ除湿機で電気使用量を抑えつつ湿度グラフが安定するケースが多く見られます。

乾燥剤・マット・ストレッチフィルムは、保管物と倉庫環境の“組み合わせ”で選ぶ

乾燥剤やシリカゲルは「置けば安心」の道具ではありません。倉庫の湿度環境と保管物の性質のマッチングが外れると、ほぼ効かないか、逆にトラブルを招くこともあります。
  • 高湿度環境(常時70%超)で小袋シリカゲルを入れても、すぐ飽和して役目終了
  • 床からの水分が多い倉庫でマットを敷かないと、パレット下が常時湿潤
  • ストレッチフィルムでぐる巻きにすると、中の水分が逃げ場を失ってカビ温室化
組み合わせの基本は次の通りです。
  • 床からの湿気が強い倉庫
    • スノコ・マット+パレットで離隔を確保
    • ラック下段に湿度計を置き、数値をモニタリング
  • 外気由来がメインの倉庫
    • 段ボール内に乾燥剤、外側は過度に密封しない
    • ラップは「輸送時の保護」用と割り切り、長期保管では外す判断も検討
  • 高価な精密機器や金属製品
    • ストレッチフィルム+防錆紙+乾燥剤の三層構造
    • 相対湿度のログを取り、交換時期を数値で判断
特に、ファインドライなど強力な乾燥剤を使う場合でも、「交換サイクルを決めて管理しているかどうか」で効果は天地の差が出ます。

遠隔モニター・アラートシステムを入れる前に押さえたい、現場側の運用ルール

湿度モニタリングシステムやカメラ連動の管理システムを導入しても、アラートの扱い方が曖昧だと宝の持ち腐れになります。 導入前に、最低限この3点だけはルール化しておくと運用が安定します。
  • アラート「発生時」の対応担当者と、確認までの時間目標(例:30分以内確認)
  • 湿度何%で注意喚起、何%で緊急対応かの閾値設定
  • 湿度異常が出た時に「まず確認する場所」の優先順位リスト
  • 1優先: 異常値が出たセンサー近くの段ボール・ラック足元
  • 2優先: 天井・屋根裏付近の結露、ベンチレーター停止有無
  • 3優先: シーリング・床スラブのひび、外壁の雨だれ跡
遠隔監視は、あくまで“どこで何が起きているか”を素早く指さしするシステムです。実際にシャッターを閉める、換気ファンの時間帯を変える、除湿機を移動するのは現場の従業員の仕事になります。 この「データを見て誰が何をするか」まで決めておくと、機器やシステムに投資したお金が、湿度トラブル削減という形で確実に回収しやすくなります。

「建物をいじらない湿気対策」の限界ラインはどこか?プロが見る判断ポイント

目視だけでは分からない“内部からの水分”サイン(床下・天井・壁面のチェック)

倉庫内が「なんとなく湿っぽい」のに、床も天井も一見キレイ。その状態が一番危ないです。コンクリート内部の水分や床下からの水蒸気は、目に見える漏水より前に“ニオイと局所温度差”でサインを出します。 チェックポイントを現場向けに絞ると次の通りです。
  • 床際だけサビるラック・パレット脚
  • 壁面の一部だけカビ臭い、段ボールが波打つ
  • 天井スラブの一部だけ暗いシミ、塗装の色ムラ
  • 雨が降っていないのに、朝だけ床がしっとり
この状態で空調やファンだけ増設しても、コンクリート内部の水分が“常時加湿器”のように効いてしまい湿度は下がり切りません。 サーモカメラや温湿度モニタリングで「床・壁・天井のどこが冷えているか」「外気がどこから流入しているか」を1週間ほど記録すると、内部の水分の影響がはっきり浮き上がります。

湿気が原因の劣化(塗装のふくれ・ひび割れ・シーリング切れ)と寿命への影響

湿気トラブルは、最初は段ボールや荷物の被害レベルですが、静かに建物の寿命を削る方向にも進みます。現場でよく見るサインを整理すると次の通りです。
劣化の症状 主な原因となる湿気 放置した場合の影響
床塗装のふくれ・はがれ 床下からの水蒸気、スラブ内水分 台車が引っ掛かる→塗床全面改修
外壁塗装の膨れ・白華 雨水浸入、水分滞留 コンクリート中性化→鉄筋腐食
シーリングの切れ・痩せ 目地への水の出入り ひび割れ拡大→漏水・結露増加
ポイントは、湿気による劣化は「点」で始まり「面」に一気に広がることです。1本のシーリング切れや1枚分の塗装ふくれを「まだ大丈夫」と見るか、「ここが入口」と見るかで、10年先の修繕コストが桁違いに変わります。

一時しのぎの対処法で「再発」を繰り返すパターンと、その見切りどき

工場長・設備担当の方がやりがちな一時しのぎには、共通するパターンがあります。
  • 除湿機を増台しても、電気代だけ増えて湿度は60%前後から下がらない
  • 乾燥剤・シリカゲル・マットを大量に入れても、梅雨と秋雨時期に毎年同じラックで被害
  • 段ボールの置き方・パレットの配置を変えても、「倉庫の一角だけ」必ずカビる
この3つが揃ったら、「空調・乾燥剤レベルの対策では頭打ち」と判断して良い状態です。 私の視点で言いますと、同じ場所で2シーズン連続でトラブルが出たら、それは運用ミスではなく建物側の条件が悪いサインと見切るタイミングです。

「相談してほしい時期」と「自分たちで様子を見ていい時期」のライン

「どこまで自社で頑張るか」「いつ専門業者へ相談するか」のラインを、現場向けに数値で切ると分かりやすくなります。
状況・数値の目安 自分たちで様子見OK 専門家へ相談すべきサイン
相対湿度 梅雨時でも60%前後で安定 70%超が週に何度も出る
被害箇所 保管場所を変えると改善 場所を変えても毎年同じ位置
劣化症状 塗装の退色程度 ふくれ・ひび割れ・シーリング切れが目視で確認できる
ニオイ 雨の日だけ軽いカビ臭 年中、特定ゾーンで悪臭・害虫発生
この表の右側が1つでも当てはまるなら、「建物をいじらない湿気対策」の限界ラインを越え始めていると考えた方が安全です。 換気・ファン・乾燥剤・ストレッチフィルムといった運用・設備の工夫は、あくまで「建物の条件を整えたうえで効かせるブースター」。コンクリート倉庫の構造やシーリング、屋根断熱の問題を抱えたままでは、どれだけ空調設備を導入しても、在庫と設備を守り切る湿度管理には到達しません。

コンクリート倉庫の湿気対策に効く“建物側のテコ入れ”とは?塗装・シーリング・断熱の役割

「換気と乾燥剤をいくら増やしても、倉庫の“骨格”が湿気を呼び込む構造のままではジリ貧になる」──ここから先は、建物そのものをテコ入れして湿度トラブルを断ち切るパートです。

屋根・壁面の遮熱・断熱塗装で“温度差”を下げると湿度トラブルはどう変わるか

倉庫の結露は、湿度そのものよりも温度差で起きます。 特に夏~梅雨時期は「屋根の熱だまり」と「コンクリート壁の冷え」がセットで効いてきます。 ポイントは、屋根と外壁の表面温度を下げて、屋内の温度ムラを減らすことです。 遮熱・断熱塗装を入れるときの現場目線の効果イメージ
部位 施工前の状態 遮熱・断熱塗装後に狙う変化 湿気・結露への影響
金属屋根 直射日光で表面温度60℃超 表面温度を10~20℃低下 屋根裏の熱だまりが減り、上部の湿度ムラが小さくなる
コンクリート壁面 外気より冷えやすい 外気との温度差を圧縮 壁面での結露・段ボールの裏側結露を抑制
サーモカメラで見ると、遮熱塗装後は屋根・外壁の「真っ赤な部分」が明らかに減ります。空調設備の負荷も下がるため、同じ電気代で湿度管理に余力を回しやすくなるのが実務上のメリットです。

スラブ・床の塗装・シート施工で、保管物と床下からの湿気を切り離す発想

コンクリート床(スラブ)は、内部に水分を抱え込みやすく、下からの水蒸気をじわじわ放出します。 ここを素地のまま使うと、段ボールやパレットの足元が常に「底冷え+高湿度」という最悪ゾーンになりがちです。 床まわりで押さえたい対策レイヤー
  • スラブ表面を塗床や防塵塗装でコーティングし、水分の立ち上がりを抑える
  • 必要に応じてシート防水や防湿シートで「床下からの水蒸気」と保管物を物理的に分離
  • さらにスノコ・パレット・マットで床から数センチ離す“空気の逃げ道”を確保
床を一面塗装するだけでも、「いつも床だけじっとりしている」「ラック下だけサビる」といった“点で始まる劣化”がかなり鈍ります。

ひび割れ補修とシーリング打ち替えが、腐食や悪臭を止める「入口のフタ」になる

湿気は「面」だけでなく、「線」と「点」からも入ってきます。 具体的には以下のような場所です。
  • 外壁・床のひび割れ
  • 目地シーリングの割れ・剥離
  • 配管まわり・設備基礎の取り合い部
ここが緩んでいると、雨水や地下水がコンクリート内部に回り、鉄筋やラックの足元だけ先に腐食していきます。悪臭やカビも、多くは「こうした微妙な水たまり」から始まります。 私の視点で言いますと、ひび割れとシーリングは「水の入口にフタをする工事」です。 見た目の細かいクラックでも、サーモカメラや含水率計で追うと、水分が筋状に侵入しているケースが少なくありません。

「塗装=見た目」ではない。温度・湿度・劣化スピードに効く機能性塗料という選択肢

産業用の塗装は、住宅のような「色替え」とは役割が違います。 特にコンクリート倉庫では、次の機能を持つ塗料を組み合わせていく発想が有効です。 倉庫の湿気対策で検討したい機能性塗料の例
  • 遮熱塗料:屋根・外壁の表面温度を下げて、結露を生む温度差を圧縮
  • 断熱塗料:外気の温度変化を室内側に伝えにくくし、倉庫全体の温度安定に寄与
  • 防水・防湿塗料:スラブ・立ち上がりからの水分侵入をカット
  • 防カビ・防藻塗料:カビが出やすい壁面や天井近くの長期的な汚染を抑制
これらを、「どの面がどれだけ冷えているか」「どこに外気が流入しているか」という現場データ(温湿度ロガーやサーモグラフィによるモニタリング)とセットで選ぶと、空調・換気設備が本来の性能を発揮しやすい倉庫環境に近づきます。 設備にお金をかける前に、「建物側の性能を整えて、湿気トラブルの土台ごと変える」。この順番を意識するだけで、在庫被害と電気代の両方がじわっと楽になります。

失敗しない業者選びと、見積もりで必ず聞くべき“5つの質問”

「どこに頼んでも同じでしょ?」と業者選びを曖昧にすると、湿気は減らず、請求書だけ立派になるケースが本当に多いです。ここでは、工場長・設備兼任の立場で押さえておきたい“現場目線のふるい分け軸”をまとめます。 まず、見積もり時に必ず投げてほしい質問はこの5つです。
  1. 保管物の被害や結露トラブルまで含めて、どこまで対応範囲ですか
  2. コンクリート倉庫・工場の施工実績は、何件・どんな内容がありますか
  3. 着工前に温度・湿度・水分のモニタリングやサーモカメラ調査をしますか
  4. 点検・清掃・シーリングの定期チェックを、工事後も提案してくれますか
  5. 電気代や運用コストまで含めて、設備と建物のバランス提案ができますか
この5つに具体的に答えられない会社は、湿気トラブルそのものより「塗る・貼る」が目的になっている可能性が高いです。

湿気・結露・保管物トラブルまで含めて「どこまで対応できる業者」かを見極める

湿度の話をした瞬間に「除湿機入れましょう」「換気ファン増やしましょう」で会話が終わるなら要注意です。建物の構造、水分の侵入経路、空気の循環、保管物の段ボールやパレットの積み方まで、少なくともこの4レイヤーをセットで聞いてくるかを見ます。
  • 建物: 屋根・壁・スラブ・シーリング・ひび割れ
  • 設備: 空調・換気・ファン・除湿機
  • 運用: シャッター開閉時間・換気の時間帯・清掃頻度
  • 保管物: 荷物の種類・ストレッチフィルムやマットの使用状況
私の視点で言いますと、ここを聞かずに「塗装だけ」「乾燥剤だけ」を提案する会社は、湿気ではなく自社商品を中心に考えています。

施工実績・建築実績の聞き方──倉庫・工場のケースをどう確認するか

「実績ありますか?」と聞くと、どの会社も「あります」と答えます。欲しいのはその先の具体です。
  • コンクリート倉庫・工場の施工件数
  • そのうち「湿気・結露・カビ」絡みの案件数
  • 施工前後で温度・湿度がどれだけ変化したかのデータの有無
  • サーモグラフィや水分計で撮った記録写真の有無
下の比較表を見ながら質問すると、話をそらされにくくなります。
質問ポイント 信頼できる回答例 危険シグナル
実績の種類 「コンクリート倉庫の湿気対策が直近3年で○件」 「住宅中心ですが倉庫もやってます」
測定データ 「屋根遮熱で天井面温度が○℃低下した記録あり」 「体感ですがかなり涼しくなりました」
トラブル範囲 「段ボール・ラックのサビ被害まで確認します」 「建物の表面だけ見れば十分です」

点検・清掃・定期チェックを含めた提案があるか?見積書で見るべきポイント

湿気対策は「1回工事して終わり」ではなく、水分の侵入が続いていないかを管理する仕事です。見積書と一緒に、次の3点がセットで出てくるかを確認します。
  • 年1回以上の目視点検+写真報告の有無
  • シーリングや防水の劣化チェック項目が書かれているか
  • スラブのひび・床塗装のふくれを、どのタイミングで補修するかの基準
  • 「工事後は様子を見てください」だけ
  • 「点検は呼ばれたら行きます」
  • 「清掃やカビ除去は別会社に頼んでください」
この3つが口癖の会社は、湿気トラブルの再発コストまで見ていないと判断していいです。

LINE・メール・電話での相談内容の例から学ぶ、「質問の仕方」で変わる対策の精度

業者選びは、最初の問い合わせ文で半分決まります。単に「湿気で困っています」だと、どの会社も似たような回答になります。次の情報をセットで投げると、返ってくる提案のレベルが一気に変わります。
  • 建物情報: コンクリート造か、築年数、床仕上げ、屋根の材質
  • 環境情報: 工場か物流倉庫か、荷物の種類、段ボール・パレットの使用状況
  • 状況情報: 発生場所(ラック列番号・床際・天井付近)、時期(梅雨・冬)、被害状況(カビ・サビ・悪臭・害虫)
  • 測定情報: あれば温度・湿度の数字と測定時間帯
問い合わせ文の例 「コンクリート倉庫(築25年)で、梅雨時期だけ東側壁面のラック最下段の段ボールが崩れます。簡易湿度計でその場所だけ80%を超えます。屋根は折板、遮熱塗装歴なし。床はコンクリート素地で、ひびが数カ所あります。この条件で、現地調査時に見てほしいポイントと、事前に準備すべきデータを教えてください。」 ここまで書いて丁寧に返してくる会社は、湿気を「建物全体のシステム」として見ている可能性が高く、長期的な対策パートナーになりやすいです。

よくある質問

「とりあえず換気しておけば安全ですよね?」へのプロの回答

「換気=正義」と思い込みがちですが、外気の湿度と倉庫内の温度条件しだいで“被害増幅装置”にもなります。 梅雨〜夏の雨天時、外気は気温も湿度も高く、水蒸気量がパンパンの状態です。そこへ冷えたコンクリート床・壁をもつ倉庫に大量の外気を入れると、冷えた面で一気に結露→段ボール崩壊コースに乗ります。 目安はこんなイメージです。
条件 換気の判断ポイント
外気が「涼しくてカラッ」としている 窓・シャッターを開けて積極的に換気OK
外気が「蒸し暑い」「ムワッ」とする 大量換気はNG、最小限+除湿・空調優先
床・壁がひんやり、外が暖かい 無闇に風量を上げると結露リスク増大
私の視点で言いますと、「換気ファンを増やす前に、温湿度計で屋外と倉庫内の差を“数字で管理”することが、湿気対策システムのスタートラインです。

「乾燥剤を大量に置けば、建物の対策は要りませんか?」という相談の落とし穴

乾燥剤やシリカゲル、マット類は有効ですが、あくまで“保管物の最後の防御”であって、建物からの水分供給を止めるものではありません。 よくある失敗は、次の3つです。
  • 段ボールの下にマットを敷いて満足し、床スラブのひび割れやシーリング切れを放置
  • 交換時期を管理せず、吸湿飽和した乾燥剤を「置きっぱなし」
  • ストレッチフィルムで荷物を密閉しすぎて、中にこもった湿気の逃げ場をゼロにする
乾燥剤の効果が追いつかないケースは、コンクリート内部の水分や床下からの湿気供給量が多すぎるサインです。防水劣化や目地のクラックを確認し、建物側の工事(シーリング・塗床・防水)の要否を一度疑った方が安全です。

「塗装やシーリングを変えたら、本当に湿気トラブルは減るんですか?」への向き合い方

塗装やシーリングは「見た目をきれいにする工事」と誤解されがちですが、湿気対策では役割が3つに分かれます。
  • 屋根・外壁の遮熱塗装 → 太陽熱をカットし、天井近くの温度上昇を抑える → 室内とコンクリート面の温度差を小さくし、結露発生を低下
  • 床の塗床・シート施工 → スラブからの水分の立ち上がりを抑え、段ボール底面の濡れ・サビを防止
  • ひび割れ補修・シーリング打ち替え → ピンポイントから侵入する水分を止め、「ラック足元だけ腐食」「配管まわりだけサビ」という点で始まる劣化をブロック
サーモグラフィや温湿度モニタリングを併用すると、工事前後でどの面の温度・湿度がどれだけ変化したかを“数値で確認”できるため、設備の電気コストとのバランスも判断しやすくなります。建物・設備・乾燥剤の3レイヤーを組み合わせてこそ、倉庫全体の湿度環境を安定させられます。

執筆者紹介

工場・倉庫の屋根・外壁・床など建物外皮の塗装・防水・シーリングを主要領域とする、千葉県知事許可(般-28)第51394号の専門会社です。千葉市若葉区加曾利町1002-5を拠点に、一級塗装技能士が遮熱・断熱塗装や塗床、防水工事を担当。サーモグラフィや温湿度計測の一次データに基づき、倉庫の湿気・結露と建物劣化の関係を検証してきた立場から、本記事のような「建物ごと整える湿度管理」の考え方を解説しています。

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