現場コラム

食品工場の結露対策で異物混入ゼロへ!天井ポタポタを止める実務ガイド

工場
この記事の目次

天井からのポタポタを「清掃でごまかす」運用を続けるほど、食品工場の現場は静かに損をし続けます。
異物混入リスク、HACCP指摘、フォークリフトのスリップ事故、設備の漏電や腐食。どれも結露を起点に起こるのに、原因を「空調の効きが悪い」の一言で片づけてしまうと、対策は永久に的外れのままです。

多くの工場で共通している構造的欠陥は次の3つです。

  • 結露の被害を「衛生問題」だけで捉え、建物・断熱・防水の劣化を十分に見ていない
  • 対策を空調・除湿機だけに依存し、屋根・天井・外壁・床の役割分担を整理していない
  • 増築や設備更新で結露が増えたのに、「どこが変わったか」を工程・動線・外気条件まで分解していない

この結果、「換気扇と搬送ファンを増やしたのに結露が悪化する」「結露対策シートやマットが逆に水たまりを増やす」といった、よくある失敗パターンにはまり込みます。
一般的な結露解説やメーカーのカタログでは、食品工場特有の工程(加熱・冷却・洗浄)や、老朽建屋と増築部の取り合い、天井裏の水の通り道までは踏み込まれません。そこで判断すると、投資額の割に現場のリスクはほとんど下がりません。

本記事は、工場・倉庫の屋根塗装、防水、断熱、シーリング補修を日常的に行う施工会社の視点から、「建屋側でどこまで結露リスクを潰せるか」を、工場長・品質管理・設備保全が共有できる実務ロジックとして整理します。
空調や除湿機を否定するのではなく、「建屋 × 機械設備」の役割を切り分け、最小限の停止とコストで、天井結露と床結露を現実的にコントロールするための考え方を示します。

この記事を読み進めることで、次のような判断ができるようになります。

  • 天井・壁・床・シャッターごとに「見るべき結露サイン」と劣化の深刻度を自分で判定できる
  • 断熱塗装、防水、シーリング補修で止められる範囲と、全面改修・設備投資が必要なラインを見極められる
  • 「工場を止めずにどこまで対策できるか」「どの業者に何を頼むべきか」を整理し、見積りと社内稟議をスムーズに進められる

以下のロードマップを踏まえ、必要な箇所から読み進めてください。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
記事前半(被害の整理〜メカニズム〜やってはいけない対策〜部位別チェック) 結露が「どこで」「なぜ」「どの程度」発生しているかを、自社工場で再現できる診断の物差し 結露を単なる湿気問題として扱い、異物混入・事故・設備故障につながる本当のリスク構造が見えていない状態
記事後半(建屋側対策〜建屋×機械の組み合わせ〜相談例〜施工会社の見極め〜セルフ診断) 建屋と設備の役割分担、優先順位付きの対策案、プロに相談する際の具体的準備物 無駄な設備投資や場当たり的な応急処置から抜け出せず、結露リスクとランニングコストが下がらない状態

食品工場の結露対策は、「天井のポタポタを止めること」以上に、異物混入ゼロと安全な作業環境を守るための設備投資計画そのものです。
ここで示す視点を押さえずに対策を進めることは、見えない損失を積み増す選択になります。続きを読んで、自社工場のどこから手を付けるべきかを具体的に固めていきましょう。

放置した食品工場の結露が招く「見えない被害」と衛生リスク

天井からポタポタ、床は常にしっとり…。
この状態を「しょうがない環境」と見過ごすか、「重大な品質リスク」として潰しにいくかで、数年後の売上と監査評価がはっきり分かれます。
結露は「ただの水」ではなく、異物混入・衛生指摘・設備故障・労災を一気に連鎖させるトリガーです。

天井からのケツロ水が異物混入・品質低下を招くメカニズム

天井結露は、冷えた天井表面に水蒸気が付着し、水滴となって落下します。問題は、その水滴が「ほぼ必ず何かを経由して落ちてくる」点です。

  • 断熱パネルの継ぎ目

  • 劣化したシーリング

  • 天井裏の鉄骨・配管・ダクト

  • 照明器具・ケーブル・吊り金物

これらを伝って落ちた水は、サビ粉・塗膜カス・微細なホコリを巻き込みます。結果、現場では次のような異物として検出されがちです。

  • 黒点状のサビ片

  • 白や灰色の塗装片

  • 細かい砂粒状の固形物

私の視点で言いますと、金属屋根直下の天井パネル継ぎ目は「見えないシャワーヘッド」のように結露水が集中し、ライン上にピンポイントでポタポタ落ちる“ホットスポット”になりやすい場所です。

発生場所 典型的な原因 製品への影響
天井パネル継ぎ目 断熱不足・シーリング劣化 黒点異物、外観不良
照明周り 天井裏結露水の伝い落ち 水滴付着、カビ指摘
ダクト・配管周り 断熱不良・外気との内外温度差 異物混入、衛生指摘

床の湿気・スリップ事故・フォークリフト転倒までのリアルな連鎖

食品工場は、衛生管理の観点からむやみに換気量を増やしにくい環境です。
そこへ冷蔵庫からの冷気漏れ、洗浄工程の湿気、ドレン周りの水分が重なると、床面は常に「うっすら濡れている状態」になりがちです。

  • 高圧洗浄・スチーム洗浄後に乾燥時間が足りない

  • 水はけの悪い床勾配・排水溝

  • 結露水を受けるためのシート・マットの常設

このとき、吸水マットや結露防止シートの吸収量を超えると、逆に水たまりの温床になります。結果として起きるのは次の流れです。

  • 作業者のスリップ・転倒

  • フォークリフト・台車のスリップ

  • パレット崩れによる製品破損

  • 積荷が壁や設備に衝突し建物・設備も損傷

工程停止や廃棄コストだけでなく、「安全配慮義務」で人事・総務まで巻き込む大事になりかねません。

設備部品の腐食・漏電・感電リスクとメンテナンスコスト上昇

天井裏の結露は、作業者から見えないところで設備の寿命をどんどん削ります

  • 鉄骨・金物の腐食

  • 照明器具内部への浸水

  • ケーブル被覆の劣化・端子腐食

  • 分電盤・制御盤への水分侵入

とくに、天井裏で結露した水がケーブルを伝って盤内に入り込むと、「原因が分かりにくい漏電・誤動作」として現れます。

主なリスクとコスト増のつながりは、次のようなイメージです。

  • 結露 → 端子腐食 → 接触不良 → 突発停止

  • 結露 → 漏電 → ブレーカートリップ → ライン停止・品温管理トラブル

  • 結露 → 鉄骨腐食 → 補強工事・大規模修繕

突発停止は、計画保全の何倍も高い「時間外・緊急対応コスト」として跳ね返ってきます。

監査・HACCP・取引先から見られている「結露のチェックポイント」

HACCPや取引先監査では、「結露そのもの」よりも管理の姿勢が厳しく見られます。監査側が必ずと言っていいほど確認するのは次の点です。

  • 天井・梁・配管に水滴や濡れ跡がないか

  • 製品・開放容器の直上に結露リスク箇所がないか

  • 床面の水たまり・常時湿潤箇所の有無

  • 結露発生時の記録・是正措置が残っているか

  • 結露対策の計画(断熱・換気・空調改善)が資料化されているか

ここで「場当たり的なシート養生」「バケツで受けているだけ」と判断されると、衛生管理レベルそのものへの不信感につながります。
逆に、建屋の断熱・防水・塗装計画と、空調・除湿の改善方針が整理されていれば、多少の結露が残っていても「改善中」と評価されやすくなります。

なぜ食品工場だけ結露しやすいのか?内外温度差・湿度・外気のメカニズムを分解

「同じ建物なのに、事務所は結露しないのに製造エリアだけ天井がポタポタ」。
食品工場が“結露多発ゾーン”になる背景は、単なる温度差ではなく、工程・空調・建物構造の三つ巴にあります。

ポイントは次の3つです。

  • 強力な冷蔵・冷凍設備で「局所的に低温表面」が多い

  • 加熱・洗浄で大量の水蒸気を発生させるのに、衛生上むやみに換気量を増やしにくい

  • 増築・改修で断熱・シーリングの“継ぎ目”が増え、水分と外気が集まりやすい

結露は、空気中の水分が、露点温度以下の表面に触れて水滴になる現象です。
食品工場は「低温の表面」と「高湿度の空気」が常に同居しており、一般の倉庫や事務所より結露リスクが桁違いに高い環境だと理解しておく必要があります。

冷蔵・冷凍機周りで結露が発生しやすい理由(空調だけでは防止できない)

冷蔵庫・冷凍庫・冷却ラインの周辺は、建物側と設備側の“取り合い部”が集中する結露ホットスポットです。
冷気が漏れるラインと、断熱が切れているラインが重なると、天井・梁・パネル継ぎ目の温度が一気に下がり、そこに湿った空気が触れて水滴になります。

代表的なパターンを整理すると次の通りです。

場所・設備 結露の主な原因 建屋側で疑うポイント
冷蔵庫出入口 冷気漏れ+人・台車の頻繁な出入りで外気が流入 シャッター枠周りのシーリング切れ、床とパネルの取り合い
冷凍庫天井付近 断熱不足で表面温度が露点以下 断熱パネルの継ぎ目、天井裏の断熱欠損・防水不良
冷却ライン上部 冷気が天井にぶつかり冷却 屋根側断熱不足、天井塗装の劣化・防水層の切れ

空調を強くしても、「低温の鉄骨・パネル継ぎ目」そのものの温度が上がらなければ、結露は止まりません。
冷気の通り道と、断熱・防水・シーリングの状態を建物側から診断することが、機械更新より先にやるべき対策になる場面が多いと感じます。

加熱工程・洗浄工程の湿度上昇と空気循環の関係

フライヤー、ボイル槽、スチーマー、殺菌釜、そして定期清掃のスチーム・高圧洗浄。
これらは、短時間で工場内の湿度と水蒸気量を一気に跳ね上げる“湿気発生装置”になっています。

  • 加熱工程 → 高温の水蒸気が天井付近に滞留

  • 洗浄工程 → 床・壁・機械表面に水分が残留

  • 換気制限 → 衛生管理上、外気をガバッと入れられない

この結果、「高湿度なのに逃しづらい空気」が工場内を循環し続け、少しでも温度の低い天井・梁・ダクト表面で結露します。

湿度管理のポイントは3つに絞れます。

  • 工程別にピーク湿度の時間帯を把握する(温湿度ロガーで記録)

  • 湿気の抜け道と空気循環のルートを分けて考える(単にファンを増やすだけでは逆効果も)

  • 洗浄後の乾燥時間と換気量を「作業標準」に組み込む(現場任せにしない)

スチーム洗浄を多用する現場ほど、天井・内壁の腐食スピードが速いケースが目立ちます。
湿度を“発生源”と“滞留場所”で分けて管理する発想が、結露対策と衛生管理の両立に直結します。

増築・改修・新築後に「急に結露」が出る工場に共通する設計上の盲点

「設備更新してから天井だけビショビショ」「増築してから床がいつも湿っている」
こうした相談が増えており、建物のお医者さんとして断熱・防水の診断をしている私の視点で言いますと、“設計図には出てこない継ぎ目”が結露の決定打になっているケースが多いです。

共通する盲点は次の通りです。

  • 増築部と既存建物の屋根レベル・勾配・断熱仕様がチグハグ

  • 既存パネルとの取り合い部でシーリングが一次防水のまま放置

  • 新しい空調機・冷凍機の能力アップで、内外温度差だけ大きくなり建屋の断熱が追いついていない

  • 天井裏の配管・ダクトルート変更で、冷気が梁や鉄骨に直接当たるようになった

結果として、ケツロ水が一点に集中して落ちる“ポタポタポイント”が生まれます。
新築時は問題がなくても、「冷却能力だけ増強」「増築で屋根を継ぎ足し」というタイミングで、建物側の断熱・防水・シーリングを見直さないと、結露と腐食が一気に顕在化します。

工場長・品質管理・設備保全の三者で、
「どの工事・設備更新をきっかけに結露が出始めたか」を時系列で洗い出すだけでも、原因の当たりがかなり絞れます。

現場でよくある「やってはいけない結露対策」と、その逆効果の理由

「とりあえずやった対策」が、結露と衛生リスクを数倍に増やすケースを何度も見てきました。
ここでは、食品工場で本当によく出会う“危ない定番対策”を3つ、原因と代わりに取るべき一手まで踏み込んで整理します。

換気扇と搬送ファンを増やしたのに結露悪化:なぜ空気の流れだけでは足りないのか

換気扇と搬送ファンを増設して「空気を動かせば乾くはず」と考える工場は多いですが、食品工場では逆効果になるパターンが目立ちます。

よくある悪化パターンは次の通りです。

  • 冷却室・冷蔵室周辺に外気を多く引き込み、露点温度を超えた湿った空気が冷えた天井・梁で一気に結露

  • 搬送ファンの風が、天井裏や梁に付いた水滴を別エリアに飛ばし、結露の発生場所が拡散

  • 衛生管理上、窓を開放できず換気口も限られるため、湿気だけが工場内を循環して滞留

私の視点で言いますと、「風だけ増やして、温度と湿度のバランスを見ていない」現場は高確率で失敗しています。

ポイントは、“空気を動かす前に、冷え過ぎている面と湿度源を特定すること”です。

代表的な比較イメージは次の通りです。

対策の考え方 ありがちな失敗 有効な方向性
とにかく換気量を増やす 外気の水蒸気を大量に入れ、冷えた天井で結露が爆増 外気条件を見ながら、給気位置と排気位置をセットで設計
搬送ファンで風を当てる 水滴を飛ばして別エリア汚染、温度ムラが拡大 結露起点を断熱・防露した上で「滞留防止」に限定利用
空調だけで除湿しようとする 空調負荷が増え、機器能力オーバーで温湿度が不安定 建屋断熱を整えてから、空調・除湿機を適容量で導入

換気や循環ファンは、建屋の断熱・防露が整って初めて“仕上げの微調整”として効くものです。
逆に、断熱不足の天井や梁に湿った空気をぶつけ続けると、「天井ポタポタ工場」を自ら育てている状態になります。

安価なシート・マットでの応急処置が、スリップ事故と腐食を招くケース

「とりあえず水を受ける」「足元だけ守る」目的で、吸水マットやビニールシートを敷き詰める現場も多いです。
しかし、食品工場ならではの洗浄・消毒・フォークリフト運用環境では、以下のような悪影響が出やすくなります。

  • 吸水量オーバーで常時びしょ濡れ状態になり、床下に湿気が滞留

  • マットの縁でつまずき、転倒事故やハンドリフトの引っ掛かりが頻発

  • シート下に水分と汚れがたまり、コンクリートや鉄骨が見えないところで腐食

現場感覚としては、安価なマットは「水たまりを隠すカーペット」であって、リスクを消してはいません。

安易なマット頼みを避けるために、最低限押さえたいチェックは次の通りです。

  • ケツロ水の落ちてくる“上流”を追跡しているか(天井・梁・配管・パネル継ぎ目)

  • マットを敷く前に、床勾配・排水溝・巾木の亀裂を点検したか

  • 清掃時にマットを必ず外して乾燥させる運用になっているか

食品工場の床は、水を「ためる場所」ではなく「逃がす構造」にしておくことが重要です。
応急処置に頼り続けると、HACCPや監査で必ず指摘される「慢性的な湿潤エリア」としてマークされます。

屋根・天井の塗装を「色だけ」で選んだ結果、温度上昇と湿度トラブルが増えた話

屋根や天井の塗装を更新する際、「明るくしたい」「企業カラーに合わせたい」と色だけで選定し、結露や温度問題を悪化させるケースも見られます。

起こりがちなシナリオは次の通りです。

  • 断熱性の低い一般塗装を採用

    → 夏場の屋根表面温度が上昇 → 工場内の空調負荷が増え、冷却能力が追いつかず湿度が高止まり

  • 天井裏が高温多湿になり、夜間や冬場に急冷されて結露水が配線・照明を伝って落下

  • 塗膜に防水性だけを求め、屋根下側の結露対策(断熱・防露)を置き去りにする

断熱・遮熱機能を持つ塗装と、一般塗装の考え方の違いを整理すると、次のようになります。

項目 一般的な外装塗装 断熱・遮熱を意識した塗装
主な目的 見た目の改善、防錆 温度上昇の抑制と内部温度の安定
食品工場への影響 空調負荷増、湿度管理が不安定になりやすい 冷却設備の負荷軽減、結露発生タイミングを抑制
施工時の着眼点 色・価格・納期 熱環境データ、屋根構造、内外温度差

屋根・天井の塗装は、「デザイン」ではなく温度と湿度のコントロール部品として扱うべき領域です。
特に、冷凍機や冷蔵設備が24時間稼働している工場では、屋根の断熱・遮熱塗装ひとつで、結露リスクとランニングコストの両方を一段下げることができます。

部位別チェックリスト:天井・壁・床・シャッターで見るべき結露サイン

「どこから手をつければいいか分からない」を潰す一番早い方法が、この部位別チェックです。温度・湿度・空気の流れは目に見えませんが、結露サインは建物表面に必ず「跡」を残します。

まずは、下の早見表で自工場の状態をざっくり当てはめてみてください。

部位 典型的な結露サイン 想定される原因 放置リスク
天井・梁 点滴・シミ・サビ筋 断熱不足・シーリング劣化 異物混入・設備腐食
外壁・内壁 パネル継ぎ目の黒ずみ 内外温度差・気密不足 断熱性能低下・漏水
床・排水・マット 常時ぬめり・マット裏びしょ濡れ 乾燥不足・排水不良 スリップ事故・カビ
シャッター・出入口 レール周りの水たまり 外気流入・温度差 転倒・サビ・故障

天井・梁・パネル継ぎ目:ケツロ水の「起点」となるシーリング・建材の劣化

天井結露は、「点ではなく線で見る」のがコツです。水は必ず「継ぎ目」「段差」「配管まわり」に集まります。

チェックすべきポイントを絞ると、次の3つです。

  • パネル継ぎ目のシーリングにひび・剥がれ・隙間がないか

  • 梁やダクトの下側だけサビ筋・黒い筋が伸びていないか

  • 照明器具や電線の上に水滴跡(白い輪・水垢)が残っていないか

業界人の感覚として、空調更新や冷凍機増設のあと、既存パネルと新設部の取り合いから結露が急に増えたケースを何度も見ています。そこは断熱もシーリングも「一番弱い線」になりやすい場所です。

私の視点で言いますと、天井裏のケツロ水が照明器具を伝って落ちている現場は、感電・漏電リスクを疑うべき段階だと判断します。

外壁・内壁・断熱パネル:内外温度差と断熱不足が疑われるサイン

食品工場は冷蔵・加熱・洗浄が混在し、他の倉庫より内外温度差が極端になりがちです。そのストレスが一番素直に出るのが外壁・内壁・断熱パネルです。

  • 外壁パネルの継ぎ目だけ黒く汚れている

  • 内壁の同じ高さに、細長い水シミが横方向に伸びている

  • 冬場の早朝、壁の一部だけ「冷たすぎて白く曇る」箇所がある

これは、断熱の切れ目や充填不足のサインです。空気の循環や換気だけでは根本的に止まりません。
特に増築ラインや、古いパネルと新しいパネルの継ぎ目は、温度・湿度の「段差」が集中し、内部から腐食が進行しやすい場所です。

床・排水・マット:湿気が抜けずスリップ事故を生みやすいパターン

床結露は、現場では「ちょっと滑るな」で終わらせがちですが、HACCP上も労災リスク上も一番危険なゾーンです。

要注意なのは次の組み合わせです。

  • 高圧洗浄・スチーム洗浄を多用

  • 排水勾配が浅い、もしくは不明

  • 吸水マット・結露対策シートを長期間敷きっぱなし

この状態で湿度管理が甘いと、マットやシートの吸収能力を超えた水分が床下に滞留します。結果として、

  • フォークリフトの急ブレーキでタイヤが空転

  • マットの縁でつまずき転倒

  • 床表面の塗装・防水層が早期に剥離し、さらに水が入り込む

という悪循環を招きます。
「乾ききらない時間帯が毎日続いていないか」を、シフトごとに確認するだけでもリスク把握が進みます。

シャッター・出入口:外気との出入りで結露しやすいラインと防止のポイント

シャッター・出入口は、外気・湿気・粉じんが一気に流れ込む結露ホットスポットです。特に冷凍庫前や常温倉庫との境界は要注意です。

  • シャッターレール周りだけ水たまり・サビが集中していないか

  • 開閉後数分で、床にうっすら「曇り」が出ていないか

  • ドアパッキンにカビ・黒ずみ・硬化(弾力低下)が見られないか

ここでのポイントは、ライン(線)で結露を追うことです。
レールライン・敷居ライン・パッキンの当たりラインに沿って結露している場合は、

  • 気密不足(外気の侵入)

  • 温度差が大きすぎる出入口構造

  • シャッター枠周りの断熱未施工・劣化

が疑われます。
建屋側でできる対策は「枠まわりの断熱補強」と「レール下の防水・勾配見直し」です。空調機を増やす前に、このライン補修だけで結露発生時間が目に見えて短くなったケースも少なくありません。

建屋側からできる食品工場の結露対策:断熱塗装・防水・シーリング補修の考え方

「天井がポタポタしている工場は、“建物の設計ミス”が毎日仕事をサボっている状態」です。空調や除湿機をどれだけ増設しても、屋根・天井・外壁が結露前提の構造のままでは、被害もランニングコストも下がりません。ここでは、建屋側でできる結露対策の設計思想を整理します。

工場屋根の断熱・遮熱塗装で工場内温度と湿度変動を軽減する発想

食品工場が結露しやすい最大の原因は、屋根からの熱の出入りが激しすぎることです。夏場は屋根表面が60℃近くまで上がり、冬場は外気温と一緒に急降下します。この温度乱高下が、天井裏の水蒸気を一気に「露」に変えてしまいます。

私の視点で言いますと、屋根の断熱・遮熱塗装は「空調のアシスタント」を雇うイメージです。空調だけに温度管理を任せるのではなく、屋根面でそもそも熱を入れない・逃がしにくくすることで、工場内の温度・湿度のブレ幅を小さくできます。

代表的な効果は次の通りです。

  • 屋根からの日射熱をカットし、天井面の温度上昇を抑える

  • 天井裏の温度差を小さくし、露点温度(結露し始める温度)を越えにくくする

  • 空調機・冷凍機の負荷を下げ、電気代と機器の劣化スピードを抑える

屋根断熱の有無による違いを、工場長目線で整理するとこうなります。

項目 断熱・遮熱塗装なし 断熱・遮熱塗装あり
天井付近温度 外気に追随して急変 変化が緩やかで安定
結露発生リスク 季節・時間帯で急増 「結露しやすい時間」が減る
空調負荷 常にフル回転 余裕が出て能力を使い切らない
品質・衛生管理 日ごとに条件が変動 条件が安定し対策が立てやすい

空調更新を検討している工場ほど、先に屋根側から温度環境をならす発想が有効です。

天井・外壁の防水・シーリング施工で「水の通り道」を断つ

結露は「水蒸気」から始まりますが、被害を大きくするのは水の通り道ができてしまっている建物です。食品工場では、次のようなラインが要注意です。

  • 天井パネル同士の継ぎ目

  • 外壁パネルと鉄骨梁の取り合い

  • サッシ・シャッター枠周りのシーリング

  • 屋根の笠木・立上り部の防水切れ

これらのシーリングが痩せたり、ひび割れたりすると、天井裏で発生した結露水が一点に集まって「ポタポタポイント」を作ります。衛生管理担当からすれば、「毎回同じ場所に水滴が落ちる」のは、建屋側の防水ラインが壊れているサインです。

防水・シーリング施工で押さえるべきポイントは3つです。

  • 水の入口を塞ぐ:屋根・外壁から雨水や外気の湿気が入らないようにする

  • 水の通り道を断つ:パネル継ぎ目・配管貫通部など、筋状に伝うルートを止める

  • 水の出口をコントロールする:どうしても結露する部位は、排水経路を設計する

「天井からの一滴」は、天井裏では何メートルも移動した後の出口であることが多く、落下位置だけを見ても原因にはたどり着けません。建屋診断では、必ず天井裏・外壁側からの目視と触診が必要になります。

既存パネル・建材を活かした断熱強化と、丸ごと交換の境界線

老朽工場では、「全部やり替えないとダメですか?」という質問がよく出ます。全交換は確かに効果は大きいものの、工場を止める時間とコストが桁違いになります。現実的には、既存パネルを活かしながら結露リスクを下げるか、どこから先は交換が得かの見極めが重要です。

判断の目安は次の通りです。

状態 補修・断熱強化で対応しやすいケース 交換を検討すべきケース
断熱材 一部湿り・局所的なカビ 広範囲に水を含み、指で押すとグズグズ
パネル表面 塗膜の劣化・軽微な腐食 穴あき・層間剥離・膨れが多数
シーリング ひび割れ・痩せが点在 ほぼ全周で切れ・剥離が進行
結露の範囲 限定されたゾーン 工場全体・複数温度帯で発生
  • 補修・強化で済むゾーン

    断熱塗装・部分的な断熱パネル増し張り・シーリング打ち替えで、熱橋(ヒートブリッジ)となっているラインを潰していきます。

  • 交換ラインを越えたゾーン

    断熱材が常に水分を含んでいる場合、その部分は「内部結露製造機」になっています。ここは思い切ってパネルごと交換した方が、長期の衛生リスクとメンテナンスコストは下がります。

品質管理としては、「どこまでが応急処置で、どこからが恒久対策か」を建屋側と共有しておくと、監査対応の説明もしやすくなります。

新築より「増築・改修」で注意すべき内外取り合い部の設計ポイント

食品工場で「急に結露が増えた」という相談の多くは、増築・改修後の取り合い部が起点です。新築よりもリスクが高い理由はシンプルで、異なる年代・仕様の建物同士を無理やりつなぐからです。

増築・改修で特に結露が集中しやすいのは、次のような場所です。

  • 既存工場と新設冷蔵庫の境目(壁・天井・梁)

  • 旧屋根と新屋根の重なり部分

  • 新設配管・ダクトの貫通部

  • 既存断熱パネルを切り欠いた周辺

ここは、温度帯の違う空気がぶつかり、しかも断熱材やシーリングに「継ぎ目」が必ずできます。この継ぎ目が、温度・湿度・外気の“段差”を全部引き受けさせられるポイントになり、結露水と腐食のスタート地点になります。

設計・施工段階で押さえるべき注意点は次の3つです。

  • 取り合い部ほど断熱材を厚く・連続させる意識を持つ

  • 構造上やむを得ず熱橋が残る部分は、断熱塗装や保温材で二重にカバーする

  • 高圧洗浄・スチームを使う洗浄工程の近くでは、洗浄後の乾燥・換気ルートまで含めて設計する

増築計画時に、空調会社だけでなく、建屋修繕に慣れた塗装・防水会社を早めに図面段階から巻き込むと、「完成してから結露が発覚する」リスクをかなり減らせます。

空調・除湿機だけに頼らない:建屋×機械の組み合わせで結露リスクを下げる

「空調を増やしたのに、天井は相変わらずポタポタ」
ここで止まっている工場は、ほぼ例外なく“建物側”が置き去りになっています。

空調・処理機・搬送ファンの役割と限界を整理する

まず、機械設備が得意なこと・苦手なことを切り分けておくと判断がブレません。

  • 空調機:室温・湿度の平均値を下げるのが得意

  • 除湿機・処理機:水蒸気量を減らすのが得意

  • 搬送ファン:空気を循環させ、局所的な湿気を散らすのが得意

一方で、どれも「屋根・天井・外壁そのものの表面温度」を上げることはできません。
冷たい鉄骨や断熱切れした天井パネルが露点温度を下回れば、内部の空気がどれだけ乾いていても、その面だけピンポイントで結露します。

機械だけに投資して失敗しやすいパターンを整理すると、次のようになります。

対策内容 一時的な効果 限界・リスク
空調能力アップ 体感温度・湿度は改善 ランニングコスト増、局所結露は残存
搬送ファン追加 曇り窓・ムレ感はやや減少 冷たい天井・梁はそのまま結露
除湿機追加 湿度の数字は下がる 天井・外壁の断熱不足が根本原因なら継続

建屋側の断熱・塗装を先に整えることで、空調負荷とランニングコストを抑える発想

結露対策を「建屋→機械」の順に組み立てると、空調機の選定が一気にラクになります。

  • 屋根の断熱・遮熱塗装で工場内への熱流入を抑える

  • 天井裏・外壁の防水・シーリングで水分侵入と腐食を防止

  • 冷蔵・冷凍室周りの断熱パネルの継ぎ目を補修して、内外温度差の“直撃点”をなくす

この3点を押さえるだけでも、必要な空調能力が1〜2ランク下がるケースは珍しくありません。
毎月の電気料金とメンテナンス費を「固定費」として見るなら、建屋の断熱は一度きりで効き続けるコスト削減投資になります。

建物と機械の役割分担を、工場長・品質管理・設備保全で共有しておくと、社内の稟議も通りやすくなります。

領域 主な目的 相談先の例
建屋(屋根・天井・外壁・床) 表面温度の安定・水の侵入防止 塗装・防水・修繕会社
機械(空調・除湿・ファン) 室内環境の微調整・制御 空調・冷凍設備メーカー

機械設備メーカーのカタログに載らない「取り合い部」のリスクと、工場側の準備

結露トラブルの“犯人”は、カタログには出てこない取り合い部に潜んでいます。

  • 既存工場と増築部分の継ぎ目

  • 冷蔵庫パネルと躯体の取り合い

  • 屋根貫通部(ダクト・配管)周りのシーリング切れ

私の視点で言いますと、空調を入れ替えた瞬間に結露が一気に増えた現場は、ほぼ必ずこの取り合い部で断熱ラインが途切れていました。冷やされた空気が、断熱されていない鉄骨やコンクリートに直接触れ、「見えない結露ポイント」を量産してしまう構造です。

機械設備を導入する前に、工場側で準備しておきたいのは次の3点です。

  • 既存図面と実際の建物を照合し、「増築・改修の履歴」と境界線を洗い出す

  • 天井・梁・シャッター周りで、すでに結露・錆が出ている場所を写真で記録

  • 日時と温度・湿度・外気条件を簡易計測し、「どの条件で発生しやすいか」をメモ

この情報が揃っていると、塗装・防水業者も空調業者も、原因特定と対策提案が一気に具体的になります。
機械と建物を“別物”として見るのではなく、「同じ結露リスクを分担しているパートナー」として設計し直すことが、食品工場の天井ポタポタを止める近道です。

相談メール・LINEで実際に聞かれる質問と、プロが返す現場ベースの回答例

食品工場からの相談は、だいたい「天井ポタポタ」「工場を止めたくない」「誰に頼めばいいか分からない」の3本柱です。この章では、実際のやり取りに近い形で整理します。

「天井の一部だけ結露する」「月別で被害が変わる」ケースのヒアリング項目

天井の一部分だけ結露する場合、闇雲に断熱しても外れます。まずは聞くべき筋を押さえます。

よく聞く質問
「7月〜9月だけ、包装ライン上の天井から水滴が落ちます。空調は増設済みなのに止まりません」

ヒアリングの主な項目は次の通りです。

  • 場所

    • 結露位置(梁の下、パネル継ぎ目、ダクト周り、シャッター付近か)
    • その直上の屋根構造(折板屋根、断熱パネル、配管の有無)
  • 時期・時間帯

    • 発生する月(梅雨〜夏、冬場の早朝など)
    • 加熱・洗浄・急冷工程の稼働時間と結露のタイミング
  • 温度・湿度

    • 室温、外気温、冷蔵・冷凍室設定温度
    • 洗浄後に湿気がこもる時間
  • 直前の設備変更

    • 空調・冷凍機の更新、増築・間仕切り変更
    • 既存パネルとの「取り合い部」の有無

簡易的には、温湿度計を3点(ライン中央・問題箇所直下・入口付近)に置き、1週間ログを取るだけでも、月別・時間帯別のクセが見えてきます。

「工場を止めずにできる対策は?」という質問への現実的なステップ回答

「ラインは止められない。けれど天井ポタポタは明日にも止めたい」という工場長の本音に対しては、段階分けで答えます。

ステップのイメージは次の通りです。

  1. すぐやる一次対策(1日以内、低コスト)

    • 落下ポイントに一時的な受け皿やドレン受けを設置
    • フォークリフト・人の動線を養生テープと看板で変更
    • 洗浄後の換気時間を5〜10分だけ延長し、湿気を逃がす運用改善
  2. 数週間でやる診断・小規模工事

    • 稼働時間外の目視調査(天井裏のサビ・水筋・シーリング割れの確認)
    • 結露起点のシーリング補修、防水補修、局所断熱塗装
    • 必要に応じて、天井裏への簡易換気の追加
  3. 数カ月かけて計画する中長期対策

    • 屋根全体の断熱・遮熱塗装で、工場内の温度ピークを下げる
    • 増築部・既存部の取り合い部を含めた防水・断熱の再設計
    • 空調・除湿機の能力見直し(建屋側改善後に適正化)

優先順位の考え方を、よく次のような表で共有します。

対策レベル 目的 代表的な内容
一次対策 事故防止 受け皿、動線変更、表示
小規模工事 起点つぶし シーリング・防水・局所断熱
中長期計画 再発防止 屋根断熱塗装、取り合い部是正、空調見直し

「全部一気に」は現実的ではないので、被害リスク(異物混入・スリップ)と工場の止めやすさで切り分けるのがポイントです。

「どこまでが塗装・防水業者の仕事?どこからが空調業者?」という線引きの説明

責任の押し付け合いが起きやすいのが、この境界です。グレーを減らすために、私は次のように説明します。

区分 主な担当 具体的な範囲
建屋側(塗装・防水・シーリング) 建物専門業者 屋根・外壁・天井・梁・断熱パネル・シーリング・防水層の劣化是正、断熱塗装
機械側(空調・冷凍・除湿機) 空調・冷凍設備業者 空調機・冷凍機・除湿機の選定と設置、風量・能力設計、ダクトルート
取り合い部 両者+工場側 ダクト貫通部、増築の接合部、機械架台まわりの止水・断熱

建屋が原因の結露は、たとえば次のようなサインがあります。

  • 屋根の折板裏やパネル継ぎ目だけが濡れている

  • シーリング割れや防水層の浮きから、水筋が同じラインに続いている

  • 空調を止めても、雨の日だけ同じ場所から滴下する

一方、機械側が主因になりやすいのは、次のパターンです。

  • 空調更新後に、同じ設定温度でも露が一気に増えた

  • 加熱工程増設後、そのライン周辺だけ湿度が急上昇した

  • 搬送ファンの位置変更後、冷気が一点に当たるようになった

「私の視点で言いますと、まずは建屋の状態を押さえたうえで機械の相談に行く方が、空調側の設計ミスを防ぎやすくなります。屋根断熱やシーリング補修で温度・湿度の振れ幅を抑えておけば、空調の能力選定も過大になりにくく、ランニングコストも下がります。」

工場長・品質管理・設備保全で役割を分けるなら、結露の“起点”の切り分けを建屋側で済ませておき、能力計算は空調側に任せるという進め方が、トラブルを最も減らしやすい進行パターンになります。

施工実績の見方と、食品工場がチェックすべき3つの「会社側ポイント」

「どの会社も“結露対策できます”と言う。けれど、天井のポタポタは全然止まらない。」
ここで差がつくのは、施工実績の中身をどこまで読み解けるかです。

食品工場の結露は、単なる建物トラブルではなく、品質・衛生・安全・ランニングコストが絡む“工場経営リスク”。
私の視点で言いますと、実績を見るときは「写真のビフォーアフター」より、工場種別・温度帯・部位・メンテ周期のセットをどこまで開示しているかが勝負どころです。

施工事例・導入事例で確認すべき「工場種別」「温度帯」「部位」の関連

食品工場は、温度帯と工程で結露のクセがまったく違います。
事例を見るときは、最低でも下記の3点セットを確認します。

  • どんな工場種別か(惣菜・精肉・冷凍食品・製パンなど)

  • どの温度帯か(常温・10℃帯・冷蔵・冷凍)

  • どの部位の施工か(屋根・天井・外壁・内壁・床・シャッター)

施工事例を見る際のチェック表イメージは次の通りです。

項目 見るポイント 要注意サイン
工場種別 加熱・冷却・洗浄の有無 種別が書かれていない
温度帯 室温・設定温度・外気条件 「冷蔵室」「冷凍室」とだけ記載
部位 屋根・天井・壁・床のどこか 「工場一式」とぼかしている
結露位置 天井結露・床結露・シャッター結露など 被害の具体説明がない

工場長・品質管理の立場で見るべきなのは、自社の温度・湿度環境と似ているか
たとえば「冷凍庫増設後に天井パネル継ぎ目から結露発生」「高圧洗浄を多用する加熱室の天井腐食」まで書いてあれば、現場を理解している会社と判断しやすくなります。

断熱・防水・塗装の性能だけでなく、メンテナンスコストと再施工周期を見る理由

断熱塗装、防水、シーリングは一度塗って終わりではなく、
「何年持たせて」「何年ごとにどの程度のコストで再施工するか」まで含めて対策です。

断熱・防水工事で比較すべきポイントを整理すると、こうなります。

観点 技術視点 工場側にとっての意味
断熱性能 屋根・天井表面温度の低減効果 結露発生温度をまたがないか
防水性能 水の浸入ルート遮断 天井裏に水分を残さない
耐久年数 期待耐用年数・保証年数 再施工までの年数計画
メンテ方法 部分補修の可否 工場を止めずに対応できるか
ランニングコスト 空調負荷の変化 電気料金の削減余地

「高性能」「高遮熱」といった言葉だけでは不十分で、
メンテナンスサイクルとトータルコストを出しているかが重要です。
食品工場では、高圧洗浄や薬剤洗浄で塗膜やシーリングの劣化が早まることが多く、
その条件込みで再施工周期を語れる会社かどうかが、実務上の分かれ目です。

資料ダウンロード・チェックリスト・SNS投稿から読み取れる“工場慣れ”の度合い

会社のサイトや資料からも、その業者が食品工場の空気感を知っているかはかなり読み取れます。

工場慣れした会社に見られる情報の特徴をまとめると、こうなります。

情報源 工場慣れしているサイン 不安なサイン
資料・記事 HACCP・監査・異物混入・スリップ事故などの言及がある 「美観向上」「省エネ」だけを強調
チェックリスト 部位別(天井・壁・床・シャッター)の結露サインが整理されている 住宅・オフィスと同じチェック項目
SNS・ブログ 工場を止めない段取り・養生方法・安全対策の話が出る 完成写真ばかりでプロセス説明がない

食品工場の結露対策は、「塗る」より「止めながら、工程を邪魔せずに工事できるか」が難所です。
資料の中に、「夜間や休日で区画ごとに施工」「増築部との取り合い部の断熱強化」といった具体的な現場段取りまで書かれていれば、現場で汗をかいてきた会社だと判断しやすくなります。

今すぐできるセルフ診断ステップと、プロに相談すべきタイミングの見極め方

「天井ポタポタ」を止める第一歩は、闇雲な設備導入ではなく、現場の“見える化”です。工場長でも品質でも、今日から始められるセルフ診断のやり方をまとめます。

温度・湿度・外気条件を簡易計測して「結露しやすい時間帯」を特定する

高価な計測器は不要です。3点セットだけ準備します。

  • 室内用の温度計・湿度計(できれば記録付き)

  • 外気温が分かる温度計(または気象データ)

  • メモ帳かExcel(時間帯と状態を記録)

最低3日、できれば「晴れの日」「雨の日」「洗浄のある日」を含めて記録すると、結露パターンが浮き彫りになります。

下の表のように整理すると、問題の“時間帯”と“工程”が一目瞭然になります。

時刻帯 外気温 床上温度 天井付近温度 相対湿度 主な工程・作業 結露状況メモ
6:00 8℃ 12℃ 14℃ 85% 立ち上げ 天井うっすら濡れ
9:00 12℃ 15℃ 17℃ 70% 仕込み開始 変化なし
13:00 14℃ 17℃ 19℃ 90% 洗浄直後 梁から滴下あり

ポイントは、「気温・湿度だけでなく工程もセットで記録する」ことです。洗浄・加熱・シャッター開閉の直後に湿度が跳ね上がるケースが、食品工場では圧倒的に多く見られます。

「結露しやすい時間帯」が分かると、プロ側は露点(空気中の水蒸気が水になる温度)の計算や、断熱・空調の負荷ポイントを具体的に設計できます。

部位別チェックリストで「被害の大きさ」と「対策優先順位」をつける方法

温湿度の次は、「どこがどの程度やばいのか」を整理します。工場全体を一気に直せる現場は多くないため、優先順位付けが現実解になります。

部位 チェックポイント 被害レベル目安 優先度の考え方
天井・梁 滴下の有無、パネル継ぎ目の黒ずみ・錆 異物混入の危険があれば“特A” 製品やラインの真上なら最優先
内外壁・断熱パネル 結露跡のスジ、シミ、塗装の膨れ 腐食・断熱低下は“B” 結露の起点なら早期に手を打つ
床・排水・マット いつも湿っている範囲、カビ、マット下の水たまり 転倒・フォークリフトは“特A” 人や車両の動線上は天井と同列で扱う
シャッター・出入口 雨天時や開閉時の結露・水滴 “B〜A” 外気との取り合い調整で大きく改善できることが多い

チェックは、工場長・品質・設備で一度“合同パトロール”をすると、被害イメージと危険度の共通認識が作りやすくなります。

「普段は誰も見ていない天井裏」「増築のつなぎ目」「シャッターボックス内」は、業界人ほど最初に覗き込む“結露ホットスポット”です。

見積り・設計相談前に準備しておくべき写真・図面・管理資料

ここまで整理した情報を、施工会社や空調会社に投げる前に「資料化」しておくと、初回相談から一気に精度が上がり、ムダ見積りを減らせます。工場側で準備しておきたいのは次の3セットです。

  • 写真・動画

    • 結露している瞬間の写真(滴下箇所が分かるアップと、全体が分かる引きの両方)
    • 天井・梁・パネル継ぎ目・シャッターレールの接写
    • 洗浄中やシャッター開放中など、工程が分かる動画
  • 図面・レイアウト情報

    • 平面図(結露箇所にマーカーを入れておくとベスト)
    • 断面図・屋根構造が分かる資料(あれば)
    • 冷蔵庫・冷凍庫・加熱室・洗浄場の位置関係
  • 管理資料・運用情報

    • 1日の工程スケジュール(洗浄・加熱・搬入出の時間帯)
    • 温湿度の簡易記録
    • これまでの修繕履歴(屋根塗装、パネル交換、空調更新の年月)

工場・倉庫の塗装や防水を診ている私の視点で言いますと、「写真+温湿度+工程表」の3点セットが揃っている現場ほど、初回提案から“ほぼ最終案”レベルまで詰められることが多いです。

逆に、以下のようなサインが見えたら、セルフ対策ではなくプロ相談のタイミングです。

  • 同じ場所で、毎シーズン結露が再発している

  • パネル継ぎ目や梁の錆が手で触るとボロボロ崩れる

  • 床のマット下に、常時水たまりがある

  • 洗浄後に電気系統のトラブルが増えている

この段階まで整理できていれば、建屋側の断熱塗装・防水・シーリングで対応すべきか、空調・除湿機の強化が先か、「どこから手を付けるのが工場にとって得か」を、プロと同じ目線で判断しやすくなります。

執筆者紹介

工場・倉庫など事業用建物の塗装・防水・断熱・シーリング補修を専門とする、千葉市若葉区拠点の建物修繕業者です。工場屋根の遮熱塗装や防水、外壁改修、シャッター・床・土間補修など、既存建物の診断と改善提案を日常的に行っています。本記事では、食品工場の結露を「建屋側の劣化と工事」でどう減らせるかを、現場施工の視点から整理しました。

このポップアップを見た方限定!

【施工実績1,000件突破記念】現場調査+お見積りでQUOカード or Amazonギフト券3,000円分プレゼント!